マザーレイク、日本最大の湖
「マザーレイク」と呼ばれるびわ湖は、日本最大の湖。 その北西部に位置している高島市の森林面積は約75%を占めます。 日本海側に近いことから冬季の寒さは厳しく、積雪量の多い日本海側気候となっています。その環境で森林の樹木はゆっくりと育ち、しっかりと詰まった年輪を持つ強いびわ湖材が育つエリアです。
この豊かな森林は水が湧き出る源になっています。安曇川や石田川をはじめとするびわ湖へ注ぐ河川の源流からびわ湖の3分の1以上の水が注がれています。この水源の周囲の森を管理し続けることがびわ湖を豊かにすることにつながります。そのためにも林業があり続けることが大変重要です。
- びわ湖に注ぐ
- 安曇川のシコブチ伝説
- 豊かな森を守り育てる
その昔、奈良まで筏で運んでいました
高島市の森林を流れる安曇川とびわ湖には、その昔から深いつながりがありました。奈良時代の昔から高島市西部には、安曇川を下り琵琶湖を渡って奈良や京の都に建築用材を伐り出す木材を育てる杣山(そまやま:材木を切り出す山)が広がっていました。東大寺の建築用材も安曇川から琵琶湖、淀川、そして木津川を経由して筏などで運ばれたと伝えられています。木材を水上輸送する筏乗りは、川の魔物から守ってくれる「シコブチ神」を信仰し、祠や社のほか「シコブチ講」として大切に受け継いできました。その分布は安曇川流域とその源流に限られていて「水」に対する独自の地域信仰となっています。 ※「シコブチ信仰」は2016年に日本遺産に認定されています。
シコブチ伝説とは
むかしむかし朽木村に「しこぶちさん」という筏乗りの名人がいました。ある時、子供を乗せて筏で川を下っていくと、一人の子供の姿が見えなくなりました。川をせき止めて探してみると、河童が息子を抱えて岩陰に隠れていました。息子を助けると、川をせき止められて水場を失った河童は命乞いをしてきました。そこでしこぶちさんは、菅笠をかぶり、蓑をつけて、蒲の脚絆を巻いて、草鞋を履き、コブシの竿を持った筏乗りには今後決して悪さをしないと誓わせて助けてやったのです。それから安曇川流域の筏乗りは皆、しこぶちさんと同じ格好で筏に乗るようになり、事故もなくなったといいます。そこでしこぶちさんを筏の神様として川沿いのお宮さんに祀られるようになったということです。
今も安曇川流域に「シコブチ神社」として十数社点在しています。
(写真:安曇川の最下流、安曇川中野の思子淵神社)
今も安曇川流域に「シコブチ神社」として十数社点在しています。
(写真:安曇川の最下流、安曇川中野の思子淵神社)
朽木岩瀬 志子淵神社
森を守り育てる
滋賀県高島市には、約3万7千ヘクタールの森林があり県内の森林面積の約2割を占めています。 高島の豊かな森林から生まれる様々な樹木や針葉樹の間伐材を、各種木製品として市場に流通させることが森林の管理育成の循環につながります。 また豊かな山林を育てるために広葉樹の育成も行われています。 数十年の時をかけて育った高島市の木は成長したのち住宅建材や加工材となり私たちの生活に役立ってくれています。
高島市は豊かな森林を育て多様で高品質の木材を供給していますが、森を管理し育てるために生まれる間伐材の利用も森林の成長に伴い増加しています。長い時間が必要な森林の成長には定期的な間伐の手入れが必要なのです。 適正に間伐を行うと林内に適度に光が射し込み、下草などの地面近くの植生が繁茂するため、琵琶湖を守ることとなる森林の水源かん養機能や土砂流出防止機能が高くなります。また間伐により残された木の幹が太く生育が良くなり、風や雪にも折れにくくなる。林の下層植生が豊かになり、多様な生物の生息を維持できるようになるなど重要な効果があります。 豊かな森を守るために間伐によって生まれる木材を活用することで、林業を応援し森林をそして琵琶湖を守る事につながります。